あきらかに歯が黒くなってるのに痛みがない。黒くなってないのに痛みがある。
虫歯の症状にも様々なパターンがあります。
虫歯にも、一般的な病気と同じように急性と慢性の2種類があります。
今回は、急性の虫歯(急性う蝕)と慢性の虫歯(慢性う蝕)のお話をしたいと思います。
まず、急性う蝕と慢性う蝕には、好発年齢や進行速度、進行形態などに違いがあります。
急性う蝕は、若い人に多くみられる虫歯で、進行速度が極めて速いという特徴があります。「穿通性(せんつうせい)」という進行形態をとり、下へ下へと穴が広がっていくため、歯髄炎(歯が痛い)の症状が現れるまでの期間も比較的短くなります。それだけに、早期発見・早期治療が重要となります。
慢性う蝕は、中高年の方がかかりやすい虫歯で、進行速度は比較的は遅くなります。「穿下性(せんかせい)」という進行形態をとり、浅いながらも横に広がっていくのが大きな特徴です。その過程で、「第三象牙質」と呼ばれる虫歯に抵抗する歯質が作られていくことから、虫歯が歯髄(歯の神経)まで侵攻するのに、かなりの期間を要します。さらに、象牙細管と呼ばれる微細な穴が塞がれるため、外からの刺激を受けにくく、「しみる」「痛い」といった症状も現れにくくなります。
色に関しても大きな違いが見られます。
急性う蝕では、軟化象牙質という軟らかい象牙質が多く生じることから、黄色味がかった比較的薄い着色が生じます。一方、慢性う蝕では軟化象牙質の産生はほとんど起こらず、患部が黒ずむのが特徴です。急性齲蝕の方が色で気が付きにくく、その分自覚するのが遅れるといえます。