みなさん、「オーラル・フレイル」という言葉をご存知でしょうか?
「オーラル・フレイル」とは「歯・口の機能の虚弱」
「オーラル・フレイル」とは高齢者の口腔機能低下により虚弱や老衰など介護が必要となる一歩手前の段階のことです。
「食環境の悪化から始まる筋肉減少を経て最終的に生活機能障害に至る構造の研究(東京大学高齢社会総合研究機構の辻哲夫教授、飯島勝矢准教授ら)」で示されました。
高齢期において人とのつながりや生活の広がり、誰かと食事するなどといった「社会性」を維持することは、活動量、精神・心理状態、歯・口の機能、食・栄養状態、身体機能など、多岐にわたる健康分野に関与することが明らかになっています。この「社会性」が欠如していくと、低筋力や低身体機能などの「サルコペニア」(加齢性筋肉減弱症)や低栄養などによる生活機能の低下を招き、ひいては要介護状態に陥ることが懸念されています。
65歳以上の約6人に1人が低栄養傾向の危険に直面。
最新の厚生労働省の調査によると、65歳以上の約6人に1人、85歳を超えると約3人に1人が、低栄養傾向という危険に直面しているそうです。
高齢者においては、口腔機能の低下により、麺などツルッとしたものや軟らかいものばかりを好んだり、果物や生野菜、肉類を食べなくなると、タンパク質やビタミン、ミネラルなどが不足し、固いものや繊維質の多いものを食べるのが難しくなるため、食物繊維が足らなくなるなど、栄養バランスが崩れ、栄養が足りてない「低栄養」状態に陥りやすいのです。
「オーラルフレイル」を病名に
日本老年歯科医学会では「高齢者の口腔機能低下を病名にできるか」を検討しており、その通称に「オーラルフレイル」があります。
「なぜわざわざ病名をつけるの」と思いますよね。
それは、口腔機能低下が顕著になる前の段階で予防することの重要性を様々な医療の現場で認識し、見逃さないことが重要だからです。
また、一般国民自身がより早期の気付きを持って歯科口腔機能の維持・改善に普段から心がけるよう呼びかける目的もあります。
わずかな歯・口の機能の衰えが、身体全体の衰えに繋がっていくので、ささいな歯・口の機能の低下を軽視しないことが大切なのです。